Dr.Hiromiの美容コラムDr.Hiromiの美容コラム

Column #7 2019/04/04

ピアス穴あけ

ピアスは今や、老若男女にとっての「オシャレアイテム」の一つです。これからピアスの穴をあけたい人、ピアスホールが閉じてしまいもう一度ピアスを楽しみたい人など、ピアスに対する憧れを抱く人も多いようです。
今回は、医師から見た「ピアスの穴あけ施術」についてお伝えします。

ピアスの穴あけは医療行為

日本では、「ピアスホールの穴あけ行為」は『医療行為』とされています。みなさん、ご存じでしたか?
医療行為であるならば、ピアスの穴あけは本来、病院やクリニックなどの医療機関で受ける必要があります。しかし、実際は医療機関以外でこれを行っている方も多いのではないでしょうか。
医療機関以外で行う方法をいくつか挙げてみます。

  • 自分であける
  • 友人にあけてもらう
  • ピアスを販売している店であける
  • ピアススタジオであける

実は、これらはすべて「医療法違反」となります。実際に、これらの方法での穴あけは、炎症や化膿などといったトラブルも多く、医師の立場で見れば、衛生面、機能面からも決して安全であるとは言えません。病院、クリニックなどの医療機関であれば、衛生面や機能面で優れていますし、万が一、感染や炎症が起こった際でも、医師による適切な処置が受けらます。ピアスの穴あけは、信頼できる医療機関で行うべきなのです。

ピアスホールが出来上がるまで

当クリニックは、清潔な医療用のピアッサーを使用し、適切な位置への穴あけを行っています。ファーストピアスも、厳選したチタン製の金属アレルギー対応のピアスを使用しています。施術時間は約5分。痛みや出血は、ほとんどありません。
ただし、ピアス穴あけ後は、ホールが完成するまで約6週間かかります。その間はピアスを外すことはできません。さらに、ご自身でも行う「アフターケア」が大切です。
医師、スタッフの指示に従い、しっかりとケアしていきましょう。

穴あけ前の注意点

穴をあける前に注意していただきたいことがあります。
ピアス穴あけは、すべての人ができるわけではありません。その人の身体の状態や生活環境などによっては、トラブルが発生してしまうことがあります。
例えば、下記のような方は注意が必要です。ピアスを使用する前にピアスができるかどうか確認をしてから、施術を行うとよいでしょう。

  • 金属アレルギーがある方
  • ケロイド体質の方
  • 出血が止まりにくい方
  • 消毒液でかぶれやすい方
  • 学校や職場で禁止されている方

不要なトラブルを招かないためにも、事前にご自身でピアスに関する知識を入れておきましょう。

穴あけ後の注意点

実は、穴あけ後のケアが一番重要といえます。これを怠ると、感染、炎症などのトラブルを起こしやすくなりますので、医師の指示はきちんと守りましょう。

まず、ピアスホールが完成するまで、ピアスは外さないでください。途中で外してしまうと、ピアスホールが閉じてしまう可能性があります。また、再度ピアスを装着する時に中を傷つけてしまい、感染などのトラブルを起こしやすくなります。
約6週間は外さないようにしましょう。
そして、ホール周囲を清潔に保つためにも、念入りにシャワーで洗い流し清潔にしましょう。その後はお渡しするお薬を塗布していただきます。
市販のスプレー式消毒薬はかぶれやすいので、使用しないでください。
また、毎日の衣服の脱着時、ピアスの部分が衣服などに引っかからないように注意が必要です。ピアスが引っかかり、ピアスホールが裂けてしまう恐れがあります。
万が一、痛みや腫れ、膿が出るなどの状態が悪化した場合には、自分で対処するのではなくすぐに医療機関を受診しましょう。

ピアストラブルの具体例


ピアス穴あけによるトラブルにはいったいどのようなものがあるのでしょうか。

細菌感染

不衛生な状態での穴あけ、アフターケアの不足などにより、細菌感染による炎症を招く可能性が高くなります。症状としては、痛みがある、膿が出る、腫れるなどです。

かぶれ

消毒薬によるものや、金属アレルギーが原因の場合が多いです。
ニッケル、コバルト、クロームなど金属アレルギーを起こしやすい金属が含まれていないか、ご自身の金属アレルギーの有無を事前に確認することも重要です。
共通の症状としては、ピアスホール周辺のかゆみ、ジュクジュクしている、赤くただれているなどです。

ピアスケロイド

ケロイドとは、手術やケガの傷あとが赤く盛り上がった状態をいいます。
ピアスも外傷の一種なので、強いケロイド体質の人はピアスの装着はできません。ケガの痕が残りやすい人は、ケロイド体質かどうかを確認してもらいましょう。
疑われる症状としては、ピアスホールに硬いしこりができたり、ピアスホールの前後が赤く盛り上がってきたりします。

ピアスの埋没

簡単にいえば、ピアスが「完成していないホールの中に埋もれてしまうこと」です。寝返りをした時に寝具にピアスが引っかかり引っぱられてしまう場合や、耳たぶの厚さに対してピンの短いピアスを使用した場合、炎症が長い期間続いていた場合などに起こりやすいです。耳たぶが厚い場合はロングタイプのピアスを使用することで予防できます。
皮膚の中に埋もれたピアスは医療機関で摘出してもらいましょう。

ピアスホールの裂傷

穴の位置が耳たぶの縁に近すぎたため、ピアスが何かに引っかかりその勢いで裂けてしまうことがあります。
また重みのあるピアスや装飾の多いぶら下げタイプのものを長期間使用していると、ピアスホールが少しずつ下向きに広がり、裂けていく場合もあります。
飾りの多いピアス、重いピアスは避けること、耳たぶの縁近くに穴をあけないことなどで予防できます。耳たぶの縁から少なくとも5ミリは離すことが理想的でしょう。
このようなトラブルが生じた場合は、医療機関を早めに受診してください。自己判断で誤った処置をしてしまうと、症状が長引いたり、悪化する恐れがあります。

耳たぶピアス以外のピアスについて

当クリニックでは、耳たぶの他に、耳の軟骨、へそにもピアスを入れることが可能です。
ただし、気をつけていただきたいのが耳の軟骨は一度あけてしまうと二度と塞がらないということです。本当に軟骨へのピアスが必要なのか、よく考えた上で施術を受けましょう。
へそピアスやボディピアスは、血管や神経を傷つけてしまうリスクもありますので、きちんとした技術のある医師のもとで穴あけの施術を受けましょう。へそピアスなどのボディピアスは、アフターケアも重要ですし、ホールが完成してからのセルフケアも大切です。
衣服による締め付けや、日常生活の上でもトラブルが起こりやすい部位なのです。

まとめ

ピアスの穴あけは「医療行為」となり、医療機関以外で行うことは「医療法違反」となります。化膿や炎症、アレルギーなどを起こしたりと、技術面、衛生面においてのトラブルが生じやすくなります。画鋲や安全ピンなどであけるのはもってのほかです。
医療機関での穴あけは、痛みも少なく、滅菌された医療用の清潔な器具を使用します。またあける位置や耳の形に合わせた適切な位置にあけることができます。穴あけ後の適切なケア方法をお伝えすることができ、また、万が一のトラブルにも対応できるため、安全に安心して施術を受けることができるでしょう。