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Column #3 2018/12/27

肝斑には、レーザー治療の他にも「お薬による治療」が必要

肝斑(かんぱん)」という言葉をご存知ですか?「肝斑」は、目尻の下あたりに左右対称にできていることが多いシミです。「肝臓のような形をした斑」という理由から、「肝斑」と呼ばれるようになりました。
肝斑は、30代~40代くらいの女性に多いとされていますが、その原因は何なのでしょうか。どのような治療をすれば、肝斑とサヨナラができるのか、今回は肝斑についてご説明します。

肝斑とは、大きなシミ

まずは、お顔にできるシミについて、その種類を見ていきましょう。

  • 肝斑:お顔の中でも、目尻の下あたり、頬骨にそったあたりにできる大きなシミ(詳細は後述)
  • 雀卵斑(じゃくらんはん):いわゆる「ソバカス」のことで、頬や鼻の周りに、小さな丸いシミがたくさんできますが、子どもの頃から徐々に増えはじめ、思春期頃に特に目立つようになります
  • 日光黒子(にっここくし):日光にあたることでできるシミで、別名を「老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)」といいますが、手や足にもできることがあり、左右対称ではありません
  • 炎症後色素沈着:年齢や背別に関係なくみられる、ニキビや吹き出物が治った後にお顔に残る褐色(茶色~黒っぽい色)のシミで、「合わない化粧品」を使った後にもできることがあります

この他にも、「後天性真皮メラノサイトーシス」と呼ばれるシミがありますが、これは肝斑と同様に左右対称にできる小さい斑点状のシミの集まりで、肝斑との見分けが付きにくいことがあります。

肝斑にも種類がある

前述のように、お顔にできるシミはいくつかありますが、中でも30代~40代、早い人では20代後半くらいから、女性を悩ませる「肝斑」。実は、肝斑にもいくつかの種類があるのです。
肝斑は一般的に、目よりも下、頬骨のあたりに左右対称にできますが、その「できかた」に種類があります。鏡を見ながら、ご自身にはどのようなタイプの肝斑があるのか、チェックしてみましょう(図1)。

  • 1. 全体的にもやっと広がったタイプ
  • 2. 頬骨に沿って、一筆書きをしたようなタイプ
  • 3. 目尻の下あたりからこめかみにかけて、小さく広がったタイプ(いわゆる「チビ肝斑」)
  • 4. 左右にあるが、形や位置、大きさが左右対称では無いタイプ
  • 5. 頬骨に沿った位置、額、口の周りなどにも広がっているタイプ

肝斑は、パッとみただけでは薄くて気付かないこともありますが、日光黒子の下にぼんやりと広がっていたり、頬周囲に広がる別のシミに隠れていることもあります。しっかりメイクをしても何となく明るい顔色にならない、目の下に影ができるように感じる方は、すでに肝斑が広がっているのかもしれません。

肝斑はなぜできる?

肝斑ができる原因はいくつか考えられますが、もっとも影響が強いのが「日焼け」です。お肌には、日光に含まれる紫外線から肌細胞を守るために「メラニン」が作られます。お肌(皮膚)には元々、体全体を守る「バリア機能」が備わっています。お肌の内側からの水分の蒸発を防ぐとともに、空気中(外界)から病原体やアレルゲンとなる異物の侵入をブロックする働きがあるのです。
しかし、紫外線を浴び続けると、お肌の細胞が破壊されてしまい、「バリア機能」が上手く働かなくなってしまいます。これを防ぐために、紫外線からお肌の細胞を守る働きが、「メラニン」にはあるのです。
つまり、シミや肝斑の原因となる「メラニン」は、良い働きも持っていることになるのですが、増えすぎてしまうことが肝斑の原因にもなってしまいます。
それからもう一つ、肝斑の原因として考えられているのが、女性ホルモンです。肝斑ができやすいのは30代~40代の女性であり、60歳以降、さらに高齢になると、実は自然と消えてしまうことが多いのです。また、肝斑が出来ている人と、妊娠出産回数あるいはピルの服用などとも関連性があることが分かっていますので、女性ホルモンが肝斑の発生と大きく関わっていると考えられています。
また、洗顔やスキンケア、マッサージによるお肌の擦りすぎ=摩擦で症状が悪化する傾向があります。
日常のケアで擦らないように気をつけることも大切です。

一度できると繰り返す「厄介な肝斑」も、治療できるの?

肝斑の原因は、一つではないことはお分かり頂けたと思います。体外からの紫外線だけではなく、体の内側にも原因がありますから、肝斑を改善し、新たな肝斑を作らないようにするためには、体の外からと内側から、大きく2つの治療が必要です。
まず、外側からの治療としては、レーザー治療があります。今見えている肝斑を目立たないように、スッキリときれいにするためにレーザーを照射し、増えすぎたメラニン、それを抱えている細胞を無くしていきます。場合によっては、美白効果が期待できる塗り薬を使うこともあります。
さらに、新しい肝斑やシミを作らないよう、お肌に色素を沈着させないために、内服薬での治療を行うこともあります。

すべての患者さまが同じ治療法になるとは限りません。実際のお肌の状態を診察させて頂き、年齢やホルモンバランスなどによっても、治療方針は変わります。
肝斑は、一度きれいになったとしても、日焼けやホルモンバランスの変化により、繰り返すことが多い「厄介なシミ」です。あなたに合った治療法を、探してみませんか。